かんそうぶん

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【ドラマ感想】最愛7話

ドラマ感想、殴り書きです。推理や考察よりもやっぱりキャラの表情からくる何かを掴んだり心情の移り変わりを想像したりするのが楽しいし好みなんだなという感想です。

 

宮崎は逃げてるわけじゃないよね…

宮崎に言われた言葉をそっくりそのまま返した優だけど、そもそも宮崎は梨央を追いかけていてそれを振りほどいて会わないと決めたのは梨央の方だし、宮崎は梨央の気持ちを尊重して会わないと決めていたんじゃなかったっけ…?だから宮崎は逃げてたわけじゃないと思うんだよなぁ。たぶんあの台詞を宮崎から優への後に優から宮崎へと言わせることでより盛り上がりを狙ったんだろうし、恐らく多くの視聴者はもちろん盛り上がったとは思うのだけど、私はまたそこで冷静になってしまった。

でも梨央は優になぜ二人が会わないと決めていたを詳しく話していないし(私はそこもずるいと思った)何も知らない優にしてみればもどかしいしあの言葉を宮崎に言いたくなるのもわかる気がする。優の立場からしてみたら確かにそうなるのかな。

 

 

姉であり母である梨央

加瀬さんと二人きりでいる時はたまに子供っぽくもありリラックスしてる感があったんだけど、優と三人でいる時は加瀬さんの前でもしっかりした「姉」になってる。たまにもはや母親にすら見える時があるのだけど、姉であり母親の役柄も担っていたのだろうから当たり前なのかもしれない。

優がいる、それだけで誰と一緒にいてもしっかりものになってしまう。別にそれは梨央にとっては何も苦ではないのだろうけど、加瀬さんと二人きりでいたときの梨央本来の無邪気さが薄れてしまって不思議な感じがする。もちろん優の前で無邪気な時もあるけど、それも姉としているのが前提に思えてしまう。優がいない寂しさの中でも無邪気でいられた梨央と、優がいるけどその無邪気さが消える梨央。どっちが本当の梨央なんだろうと思うけど、どっちも梨央でありその違いがわかる演技なのがすごいなって思った。

 

 

パブロフの犬になれない

珍しく後半ではなく中盤で宇多田ヒカルさんの歌と宮崎・梨央のシーンが来てここで流すのか~と。二人のエモいシーン(エモいの使い方間違ってたらごめんなさい)でこの曲が流れるたびにきっと胸が締め付けられ感動する人が多いのだろうけど、私はまたあぁこれかと冷静になってしまう。どうして私はパブロフの犬になれないんだろう。歌もとても素敵だし確かにあのメロディは情緒をくすぐってくる。二人とこの曲。二人のもどかしい距離感に悶えたい。純粋に二人の光景を美しいと思いたい。でもそうなる前に冷静に おきまりのやつきましたね、って思ってしまう。悲しい…。悲しいよ…。

 

 

キスできるのにしない距離感

おっ、キスするのか、しない~!のシーン、あの二人が笑い合うのはとても微笑ましかったしむしろ安易にキスしなくてよかった。今のこの二人なら見つめ合う行為の方がキスをするという行為より何倍も濃い時間な気がする。

その後に二人でごみを投げ合って笑いあってる本当になんてことないシーンが本当に美しくて、久々にちょっとジーンときた。ああいうのに私は弱いんだよね。そのちょっと前の三人でご飯を頬張るのも、優が作ったご飯がお父さんが得意な牛丼だったのも、本当にささやかな幸せがそこにぎゅっと詰まっていてキラキラしていた。

 

 

前を向こうと言える人達

加瀬が優に言ったことや宮崎が梨央に言った「前を向こう、もしもを考えるよりこれからを考えよう」みたいな言葉達は、立ち止まってしまっている人達にとって時に両刃之剣になると思うのだけど、二人ともタイミング的に優や梨央の背中を押すナイスタイミングだった。

あれをさらっと言える人は自分もそれなりに色んなことを乗り越えてきてその経験値から相手の状況や気持ちを真剣に考えた上での人か、そもそもなんの苦労もせずに進んでこれた人のどちからかな気がするし、加瀬や宮崎はたぶん前者だからこそなんだろうな。でもなんかそこまで重みを感じられなかったのはなんでなんだろう。あれかな、もう優も梨央も進み始めた人達だからなのかな。完全に止まってる人に言う時と進み始めた人に言う時とはまた重みも変わってくるから。そこなのかもしれない。

 

 

橘の微笑み

橘の結末はそうなるよなというのが予想ついてたのであんまり意外性はなかったけど、橘の表情が素晴らしくて見惚れてしまった。橘が醸し出す重苦しいもやのような空気感も彼女のずっと何かを抱えて生きてきたということがわかるし言葉よりも饒舌だなぁと思った。

真実が知りたいのも不正を暴きたいのも全ては「罪を犯した人間は報いを受けるべき」というその一心からだというのが彼女の過去の重さを物語っているし、前に進んでいても彼女の中の本当の時は止まったままだったのかもしれない。勝手な憶測でしかないけれど、もしかしたら記者として様々な不正を暴いても暴いても本当の意味では満たされなかったのかもしれない。

梨央に向けた「私は息をするのも精一杯で生きてきたのにあなたは~」っていうくだり、暗闇の中でずっともがいて生きている人は光を浴びて生きている人の中にもその光を浴びるためにものすごい努力をしている人や実は暗闇から這い上がった人もいるんだってことをわからない、だからそんな言葉を向けてしまえるし自分の中にある煮え切らない何かを一瞬でも解放しようとしてるのかもしれないなと。わかることができないほど暗闇をずっともがいているのかもしれないし、でもだからといって何をしてもいい何を言ってもいいわけでもないよな、みたいな気持ち。難しいんですよね本当に。どこにも正しさや間違いはなく同時にどっちもあるみたいな。

梨央にあなたが…(渡辺の父親を殺したのか)と問われた時に微笑んでいたことがもし答えだとしたら、「罪を犯した人間は報いを受けるべき」という言葉がまさにブーメランとして返ってくるし、それでも覚悟した上でそうせざるを得なかったのかもしれない。微笑んだだけなので決定的なことはまだ何もわかってないけどね。

 

 

後藤は何をしたいのか

後藤の詰めがあまりにも甘すぎて本当にこの人は何がしたいのか?となるし、この後藤を信頼して野放しにしてる梨央母の真意も果たして…という感じ。あとは加瀬も会社の不正を立場上知らないわけがないと思うのでなんでみんなこんなに野放しし放題なのかしら…と色々と疑いの目で見てる。

 

 

今回は橘だったけど次は誰が深く描かれるんだろう。やっぱり散らばった話よりも一人一人が深く描かれてそれが演じられている話が私は好みなんだなぁと改めて思いました。