かんそうぶん

作品感想・音楽・ただのつぶやき/過去の感想はnoteに書いていたものを移動したものです

【ドラマ感想】最愛最終回

はい、最愛最終回の感想です。後半からの感想は いや~めっちゃ感動したわ~!皆幸せになってほしい~!というピュアピュアな感想になった人は見ないでください、そういう感想ではありません(笑)

あとすごく長い。書いててまとまりないし長くて自分でびっくりした。

いつものことですがあくまでも個人的な解釈・憶測・感想です。

 

桑子の成長が可愛い

桑子、鑑定結果を宮崎へ渡すときに「まだ見てません!」ってめっちゃ元気ハツラツに言っててついわらってしまった。なにそれ可愛い!急いでいたからというのはもちろんだと思うけど、何より宮崎に見てほしい、確認するなら一緒にっていう思いがあの一言に凝縮されてる気がしてものすごく可愛いかった。

山尾の昇進に苛立ちを覚えてやけ酒してる時も、「昇進したかったら見習えよ」って宮崎に茶化されて(という表現があってるかわからないけど)絶対に嫌ですってキッパリ言ってたのに、山尾に宮崎を刑事課に戻すことを駆け引きしちゃうあたりとかちゃっかりしてんな~って思った。最初の頃とだいぶキャラが変わってしまってるけど、それも桑子自身の成長を見ることができたと思えばまぁ納得かなと。

 

 

大きな出来事が起こることで関係性が深まることもある

梨央と兄はそれまでは距離がありまくりだったけど、会社の不正について母親が丸かぶりして捕まったこと、会社を立て直すことで一気に距離が縮まったのだと思う。それはあくまでもビジネスとしての形だとしてもその中でたぶん少しずつ兄妹としての距離も縮まるのだろうなと思った(妹がネクタイをなおす、兄が励ますように妹の背中をたたく演出がそう見えた)。特に家族というものは大きな出来事が起こることによって良くも悪くも変化する、それをわかりやすく見せられた感じ。

 

梨央母の広さ

梨央母って加瀬さんのこともたぶんわかっててペンをあげたんだろうし、後藤のことも黙認してたわけだし、それが良いか悪いかは別としてそれをずっと抱えて生きてきたのだから相当なタマだよなぁ。良いか悪いかは別として(しつこいな)器がでかすぎる。海なのかな、しかもまったく荒れない海。

 

 

加瀬さんはまぁそうだよね

加瀬さんが最初の事件の手助けをしてたこと、渡辺父を池に沈めたこと、事故であれ梓を転落させたことは特に意外性はなかったです。5話あたりで後藤から公園の写真や映像?の情報をもらってさてどうするかと考えているシーン、あまりの落ち着きようにこの人はもしかして自分がこの時どこにいてどうだったかということも頭に入っててそこから色々と導き出してるんじゃないのかなって思ったのよ。それが果たしてそうだったかはともかくとして、やっぱり公園いたんだね~という気持ち。

過去の寮での事件で梨央父に「家族の話をしとるんです!」と悲痛な叫びを向けられた時にどのタイミングで手伝おうと決めたのかすごく気になった。加瀬さんだったら  もし通報したとして梨央母と梨央が親子だとマスコミが嗅ぎ付けたら会社にどのような損害がでるか→何が一番会社にとって最善か とまで考えてたりしない?って思っちゃったけど、あの短時間でそこまではさすがに考えられないかな。むしろ梨央父の迫真さに心が動いただけだろうか。

加瀬さんの梨央に向ける愛はだだっ広すぎてむしろゾッとしかねない部分が多々あったんだけど、あれは梨央に向けたものというよりあの家族に向けた愛だったんだね。加瀬さんはよく後藤に「居場所は大切です。取り戻しましょう」と言っていたけれど、加瀬さんにとってはあの家族へ愛を向けることが居場所だったのかも。クライアントごとに居場所が変わるタイプかと思ってたけど、仕事に限らずクライアントではなく愛を向ける対象となった人間まるごとが彼にとっての居場所であり、きっと居場所ごとでの自分の役割が終われば立ち去りまた次の居場所を見つけるタイプなのかもしれない。勝手な憶測だけど。

でもだからこそ梓に「(世の中に)求められているという実感がほしい」と言われた時に加瀬さんだったらもっと違う対応や説得ができたのでは?と思ってしまう。居場所を求める人間の気持ちは、違いはあれどわかるはず。たられば論にしかならないけれど、もしかしたら梨央達と出会う前に梓に違う形で加瀬が出会っていたら梓はああはなっていなかったかもしれない。

加瀬さんがなぜあそこまで献身的なのかはっきりとした理由が描かれてないからなんかすごくモヤってしまう。でもあえて献身的な理由を描かないことでより無償の愛を表現したかったのだとしたら…。そしてこれも憶測でしかない。

 

宮崎のピュアさと梨央の貪欲さ

宮崎と初心の話をしたときに梨央は「弟のために薬を作りたいただそれだけだった」としか言わなくてお前は本当にブレないな?ってなった(笑)「でも今は多くの人にその薬が役立つといいなと思ってる」くらい続けて言うのかな?と思ったらそんなこと全く言わないんだもん。宮崎は初めから今までもずっと「困っている人を助けたい」だから、この二人の対比すごい。

梨央は梨央父や優や周りの皆からずっと愛を向けられて生きてきたから愛の受け取り方を知っているし、むしろ無意識に受け取れるタイプなんだと思う。だからこそ「加瀬さんのことなんとなくわかってるよ」と宮崎へ告げることも安易にできたし、本人は無意識だろうけれど加瀬さんからのその愛はさも当然のことのように見えてしまう恐ろしさでもあると思う、吉高さんの演技すごかった。

私の中で宮崎はどんな汚れに触れても浄化していけるし全てへ愛がドバドバ溢れていく純粋ピュアッピュアな男になってるので(笑)、どんなに梨央が自覚なしに身勝手に愛を吸い込んでいく絶対女王であってもきっと一緒に歩んでいけるんじゃないかって思う、そしてそこがまた怖い。良くも悪くも宮崎だからこそ梨央の隣にいれるし梨央が梨央としていられるのでは…。(すごい語彙力の無さで言いたいことこれっぽっちも伝わらない気がする)

この世界の人間はそれぞれがそれぞれに無意識に無償の愛を受け取れる側と無償の愛を与えることができる側として絶妙に交差して成り立ってるんだな~そしてそれぞれのその在りかたがそれぞれの幸せなんだろうなという見方をすると、怖いな~怖いな~。(でも現実の世界も実はそうやって成り立ってる部分が多々ある気もする、だからこそこのドラマは怖い)

 

受け継がれていく愛という名の呪い

梨央父から加瀬へ、加瀬から宮崎へと受け継がれる「梨央たちを守る」という愛という名の呪いはもしも宮崎が背負いきれなくなったらまた誰かへ受け継がれるのかなとか考えるとやだ怖い~。でも一人一人が純粋に愛を持っていてだからこそその愛は受け継がれていくんだろうな。でなけば拒否され途絶えるはずだから。愛は人によってどんどん形を変える。そもそも形がないから人によって違う、のかも。あと宮崎は梨央父や加瀬と違って道を踏み外さないまま正当にまっすぐに梨央達を守って愛し抜きそう。そんな真っ直ぐさが彼にはある。そうであってほしい。

 

 

その他書ききれないあれこれ

・天音くんの使い方めっちゃもったいない!でも藤井が天音くんだったからこそのあの藤井の怪しさで視聴者を惑わせることができたのだろうから製作側としては成功なんだろうな~。

・宮崎の「一線を越えたら戻ってこれないやろ!」からの加瀬の「戻るつもりはありませんので」の会話最高によかった。この二人も対照的で本当によい。加瀬との電話の後に梨央と電話で話して感極まってしまうあたりが絶妙で本当に松下さんは演技うまいな~!他のシーンもそれぞれに表情と台詞の間や呼吸が絶妙で見入ってしまう。

・梨央父の子供を思う悲痛な叫びが本当にすごかった。梨央たちを見つけた時もだけど、梨央の手を握った時の叫びというか内側から絞り出される声が本当にすごくて、光石さんの演技すごかった。加瀬へ詰め寄る時もすごかった。すごかったしか書いてないしすごかったしか言えなくて悔しい。語彙力の無さ~!あの演技見た後に、5話で出てきたビデオメッセージ、梨央父はどんな思いであれを撮ってたんだろうなって考えたらまた胸が苦しくなる。

 

あれもこれもと書きたくなるけど書ききれないしまとめられません、まとまらない。話ごとには微妙に辻褄が合わなかったりキャラぶれがひどかったり突っ込みどころがあるのでそこはちょっと不満なのだけど、なんというか人間の誰かを思う美しさとそこに同時に発生するエグみの描かれ方がすごく上手いと思いました。愛も人の手にかかると呪いなんだな。人の中にある美しさと恐ろしさはセットなんだなって思う、そういうのが描かれている作品は惹きこまれますね。そしてとにかく演者の皆さんの演技がとても見ごたえあってそれがよかったです。